ベジタリアンとかヴィーガンってなに?

こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。

ベジタリアンもヴィーガンも
野菜食べる人でしょ?違うの?
と言う意見に出逢いました。
まぁ間違ってはいませんけど、
一度知っておくと良いですので、
簡単に説明することにしました。

ベジタリアンとは、
鳥獣魚の肉など動物性食品を避け、
野菜、きのこ類、果物、いも類、豆類など
植物性食品を中心に取る食生活のことで、
その思想やその実践者を指します。
許容する範囲も結構あいまいで、
様々なタイプがありますので、
知らない人は混乱します。

歴史的には
19世紀の産業革命時のイギリスで植物性食品を中心にした食生活を行ない、
肉や魚を食べない(卵や乳製品は本人の選択)
と言う運動が広まり、
これがベジタリアン運動の始まりとされ、
1847年には英国ベジタリアン協会が
発足しています。

今となっては余談的なことですが、
ベジタリアンの語源は「野菜」では無く
ラテン語「vegetus(健全な、新鮮な、元気のある)」
に由来するとされています。
ですから「野菜だけ」と言うよりは
「動物性食品は食べない」
と言うイメージが正確かと思います。

現在ベジタリアンと言う
食事スタイルを取り入れる場合には、
動物愛護、環境問題、健康配慮などの
思想上の理由や、
宗教の戒律上などの理由があります。

健康と言う観点からすると、
植物性食材をメインに摂取する事は、
病気予防や健康長寿に大切だと言う
研究報告が多々ありますが、
注意すべき点をおさえたうえで、
極端に偏った食習慣にならなければ、
ご自身の考え方や体質に合った
食事法を実践すれば良いかと思います。

極論を盲信し自分の信じる言説以外の
言動を否定してしまう原理主義に陥らず、
全ての個人の心身に同じ物は無く、
人により合う合わないがある事や、
いくら健康に良く体質に合うとは言え、
体調や環境の変化を無視してしまい
全く同じ食事や運動を無闇に継続すると、
逆にバランスを壊してしまう事も
意識しておきましょう。

特に完全菜食の場合には、
土壌菌のついた根なども食べないと、
ビタミンB12が欠乏しますし、
豆類、種子類などを意識的に食べないと、
蛋白質や鉄分なども不足しやすい
と言われますので気をつけましょう。

健康に良い食品として有名な
発酵食品に関わる様々な微生物群も、
厳密には植物ではありませんが、
動物でもありませんので、
ベジタリアンの思想に反することなく
健康に貢献します。

ではベジタリアンの種類について
解説していきます。
一度理解しておけば難しくありません。

まずヴィーガン(Vegan)は
「完全菜食主義」とも称されますが、
動物の犠牲の上で製造販売される
製品やサービス全体について反対する思想、
ならびにその思想に基づいて生活する人達
の呼称です。
完全菜食主義と呼ばれる様に、
鳥獣魚などの肉類はもちろん、
卵、乳製品、はちみつなども一切認めません。
ですから抽出物(エキス)であっても、
動物由来成分の混入は認められませんし、
皮革(レザー)、毛(ウール等)、
絹(シルク)などを用いた製品も認めません。

ただダイエタリーヴィーガンという、
食生活のみ完全菜食と言う方もおり、
ヴィーガンといってもかなり幅広い
ライフスタイルが存在します。

続いて
オリエンタル・ベジタリアン(oriental vegetarian)。
菜食主義のルーツとも言われるのが、
この「オリエンタルベジタリアン」です。

古くからインドや中国の宗教家達は、
無用な殺生をしないと言う意味だけでなく、人間本来の健やかさを保つために、動物類、鳥、魚介類、虫などの生き物や
五葷(ごくん)、酒類を口にしませんでした。

五臓を刺激し気を乱してしまうとされる、
ネギ、ニンニク、ニラ、ラッキョウなどの
「五葷(ごくん)」と呼ばれる素材は
体を元気にし精力をつけると言われますが、興奮剤の様に神経や脳を刺激し高揚させ、平穏な心によって得られる
根源的な活力や元気とは異なると
考えられており、
今も禅僧やヨギ(ヨガ行者)等により
実践されています。

ヴィーガン食から五葷を除いた物、
と捉えると分かりやすいかも知れませんが、
日本では「精進料理」を思い浮かべると
良いと思います。

続いてフルータリアン(fruitarian)。
「果実食主義」とも称され、
収穫行為が植物自体の命に関わらない
フルーツ(実=リンゴやみかん)や
ナッツ類のみを食べる人のことを指します。

よくある勘違いで
最も厳格なベジタリアンはヴィーガンだ、
と言うものがありますが、
フルータリアンは植物の命も尊重する意味で
最も厳格な菜食主義者とされています。

Apple創業者Steve Jobsが
一時期ハマっていた食事法としても有名です。

甘い果物ばかり食べると果糖過剰となり、
脂肪肝になったり
膵臓の問題を引き起こしますので、
甘味の少ない果物やアボカドやトマトなどの野菜も
バランスよく食べる事が大切です。

余談ですが白い砂糖や三温糖は、
牛骨由来のフィルターを使って濾過精製する為ヴィーガンやフルータリアンは避ける人が多く、
きび砂糖や黒糖、メープルシロップなどの
未精製糖を代わりに使ったりします。

ここから先は植物以外に
何をたべることを認めるのか、
と言う分け方になります。

まずは
ラクト・ベジタリアン (lacto vegetarian)。
母体を殺さずに分けてもらえる
乳汁や乳製品は食べますが、
鳥獣魚の肉類や卵などの動物性食材は口にしません。
宗教上の理由で行われることも多く、
主にインドで広まっているスタイルです。

続いて
オボ・ベジタリアン (ovo vegetarian)。
殺生に通じない卵製品は食べますが、
鳥獣魚の肉類、乳製品は口にしません。

そして
ラクト・オボベジタリアン(lacto-ovo vegetarian)
は上記を合わせた物で、
乳製品と卵は摂取しますが、
鳥獣魚の肉類は食べません。
一般的に「ベジタリアン」という場合、
この食生活を指し、
欧米で多く実践されているスタイルです。

19世紀のベジタリアン運動では、
ココまでの食事スタイルを広める運動で、
聖書教会の会員が始めたとされている通り、
もともと宗教的思想が絡んでいましたが、
ここからは動物の殺生が絡んで来ますので、
宗教思想由来では無くなります。

ペスカタリアン (pescetarian)は
鳥や獣の肉は食べませんが、
魚・卵・乳製品を食べるスタイルです。
ベジタリアンの中でもハードルが低く、
続けやすい食生活です。

ポーヨ・ベジタリアン(Pollo-Vegetarian)は
肉類の中で鶏肉のみ食べ、
魚・卵・乳製品も食べるスタイルです。

セミ・ベジタリアン(Semi-Vegetarian)は
フレキシタリアン(Flexitarian)とも
呼ばれます。
植物性食品をベースにした食事ですが、
たまには制限にこだわらず、
鳥獣魚、卵、乳製品なども食べるなど
柔軟性のある食生活を送る人です。

「マクロビ」として親しまれている
玄米菜食を基本とするマクロビオティックも
小魚などの魚介類を取る場合もありますが、
ベジタリアンの一種とされる事が多いです。

ほかにも
食材を46度以下で調理することで、
その食材に含まれる酵素や栄養素を
破壊せずに最大限摂取しようとする
ローフード(Raw Food)は
特殊なベジタリアンの一種とされます。

ローフードの原点を辿っていくと、
ピタゴラスやソクラテスが
生のまま食べる重要性を説いていた
とされており、
ローヴィーガン(生菜食主義者)の祖とも
言われたりしていますが、
現代広まっているローフードは、
古代ギリシャの賢人達の理論よりも、
1830年代に米国で生まれた
酵素栄養学を母体とした
ナチュラルハイジーンという思想が
大きく影響しています。

Plant based whole foodと言う
植物を可能な限り丸ごとたべる食事法も
ベジタリアンの一種であり、
この食事法の実践者の中にも、
上記ベジタリアンの様に
どこまで植物以外を許容するかは
人それぞれな感じです。

また世界には水を飲む以外全く食事をせず、
特殊な呼吸と日光浴だけで生きようとする
ブレッサリアン(breatharian 不食者)と
呼ばれる人たちもいたりしますが、
極端でベジタリアンとは言えませんね。

ベジタリアンと言っても、
様々なスタイルがある事が
お分かり頂けたと思いますし、
フレキシタリアンまで入れれば、
日本人のほとんどがベジタリアン
と言う事も出来ますね(笑)

そしてどのスタイルを選ぶにせよ
健康の為に注意しておくべき事があります。

・定期的に水以外は摂らない時間を作る
・自分の体に合わない物は避ける
・豆類、穀類、種実類などは
浸水や高圧調理など適切な処理をし
酵素阻害物質を不活化して使う
・週単位で食事内容のバランスを意識する
・良い物でも同じ物ばかり常食し続けない
・白い精製糖質(甘い物、デンプン)は常食しない
・高度に加工された食品は常食しない
・腸内細菌叢のバランスと多様性を意識する

これらを注意しておけば、
どんな食事スタイルを採用しても、
健康的なバランスから
大きく外れる事は少ないと思いますので、
是非頭の片隅に入れておいて下さい。

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