【赤身肉/加工肉は健康を害さない?】
こんにちは、Dr.Kです。
「赤身肉や加工肉を食べ続けても問題ない」
と言う研究報告が非難の的となっている
との記事がありました。
https://forbesjapan.com/articles/detail/30281/1/1/1
専門家14人で構成される国際研究グループが、
合計61本の論文(対象者は400万人以上)を
3回に渡りレビューを行い、
2019年10月1日に栄養に関する
新たなガイドラインを発表したのですが、
「赤身肉/加工肉を減らすべきと言う
アドバイスには十分な根拠が無く、
意識して減らす必要は無い」
と言う内容であった為、
・アメリカ心臓協会(AHA)
・米国がん研究協会(AICR)
などから異議や批判が出ているのです。
研究グループは、
赤身肉/加工肉を有害としている論文が
ほぼ全て「食生活アンケート」をもとにした
「観察研究」であり、
絶対的な因果関係を確立することは
出来ないと結論づけています。
「赤身肉/加工肉」をよく食べる以外に
質問票には無い行動習慣や環境も
結果に影響をしている可能性があり、
それが複数であることが多いからです。
実はこの問題は
・運動習慣が健康に与える影響
・タバコ/アルコールが健康に与える影響
についての研究も全く同じです。
一番信頼性の高い二重盲検法を用いて
栄養に関する研究を行うと言うことは、
・長期間に渡り特定の食生活を強制する
・有意差が出た場合倫理に反する。
などの問題がある為、
ほぼ全ての栄養や食事に関する研究が
「観察研究」を利用しています。
栄養学のあらゆる領域で、
相反する研究成果が出ているのは
皆さんご存知の通りですよね。
◯◯は健康に良い/癌を抑える
◯◯は健康に悪い/癌になり易い
と言う矛盾する様な結論が普通にあります。
そして実は二重盲検法に則り、
2つの集団に起こることの差が
統計学的に有意であったとしても、
個々の事例において
その通りの傾向があるとは言えない
と言うことも最近統計学の
専門家の方々が言い始めています。
例え統計処理で集団化や補正をしても、
あまりにも対象者一人一人の差が
大き過ぎるのです。
世界保健機関(WHO)も
「加工肉には発がん性がある」
としていますが、
あなたが加工肉を食べたから
将来なんらかの癌になることを
誰も証明することは出来ない
と言うことです。
そして「加工肉」と言うくくりが
大雑把過ぎるのもまた問題です。
回答者により微妙に判断が変わる
ことも十分にあり得ます。
燻製肉は加工肉?非加工肉?
焼豚は?挽肉は?
極端な話、料理になった肉は
全て加工肉であるとも言えますが、
そう捉えたとすると全ての肉料理は
発がん性があると言うことになります。
あくまで極端な例え話ですけどね。
この記事を書かれた方は、
赤身肉/加工肉を減らすことは
・温室効果ガスの抑制
・温暖化による新たな病気の抑制
・動物福祉の問題
の観点からも必要とし、
糖尿病や心疾患、卒中、がん、死亡の
リスクを低下させる食品の摂取を
増やさなくてはならないと言います。
病気や死亡のリスクを軽減させる
食品を摂る様にすべきなのは
賛成できますが、
その他の赤身肉/加工肉を減らすべき
理由についてはかなり観念的ですし、
仮説に過ぎないことばかりで、
専門家の間ですら一致した見解が
得られていない様な内容です。
魚や植物にも感情や意識がある
と言う報告もありますので、
「動物福祉」と言うのも
どこまでを許容するのかと言う
問題もあります。
4本脚の哺乳類を特別扱いして
その他の命を食べることは
許容すると言う考え方が
多い様にも思いますが、
個人的には命の差別をするより、
不要な屠殺/殺処分/廃棄を無くし、
頂く際には敬意と感謝を忘れないことの方が
遥かに大切だと思っています。
もちろん身体に合わないモノや
心情的に受け付けないものは、
避けるべきとは思います。
まとめますと、
今回話題のガイドラインで大切なのは、
赤身肉/加工肉が健康に良いか悪いかは
たとえ400万人以上を対象にした
アンケート結果を専門家が集まって
何度も分析したところで、
証拠不十分で不明と言うことです。
それ以上でも以下でもありません。
個人的見解としては、
工業的に生産され流通している
加工肉の多くに使用される添加物には
発がん性が報告されているモノが
あることは事実ですので、それらを
敢えて頻繁に大量に食べる必要は無い
と思いますし、研究結果に関わらず
なるべく避けるべきと思います。
もし加工肉を食べるのであれば
その様な添加物を使ってないことが
確認出来るモノを選ぶべきと思います。
赤身肉と脂肪のある肉、
動物食と植物食については、
おそらく地球上の全人類を対象に
研究や分析をしたところで、
あなたに適切な答えは出ないでしょう。
食べてみて体調や精神状態がどうなのか
を自分で確認して判断するしか無いですし、
自分の選択と同じ行動をすることを
他人に強要すべきではありません。
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