【精神症状と栄養】
こんにちは、Dr.Kです!
うつ病や発達障害などの
精神症状の改善に食事内容の改善が
とても効果的であることは、
一部の精神科医に周知の事実
ではあります。
もちろんいじめやパワハラなど
環境要因もあるでしょうが、
栄養状態と常在菌環境により、
心の平静に関係するホルモンが
腸管周囲から十分に分泌されない
為に様々な適応障害を引き起こして
しまっていることも意外と多いです。
特に成長期の子供達の精神症状は
栄養素と常在菌が深く関わっています。
と言うのも身体の成長に合わせて
必要な栄養素は成人よりも多くなるので、
大人と同程度の栄養素では不足しがちに
なってしまうからです。
加えて除菌/殺菌グッズに溢れ、
何かあるとすぐ殺菌剤でうがいしたり
手洗い石鹸も殺菌剤入り。
病院でも頻繁に抗生剤が処方されます。
常在菌は単に我々の身体に
寄生している厄介者では無く、
共生しており良い面も悪い面もある、
と言う程度の認識が一般的です。
しかし
その種類が減り多様性が失われたり、
バランスが偏ってしまったりする
ことで様々な不調を引き起こすことが
明らかになりつつあります。
特に腸内細菌叢の場合は
下痢や便秘と言う便通障害に
関与していることや、
そして全身の免疫系細胞の70%が
腸周囲に存在していることは、
以前から指摘はされていましたが、
・リーキーガット
・副腎疲労
への関与も強く示唆されていますし、
なにより精神安定に不可欠な
「セロトニン」の90-95%が
腸管で作られていたり、
やる気や快楽に深く関係する
「ドーパミン」も約50%は
腸管で作られていることも
分かってきています。
加えて以前は
「脳神経細胞の隙間を埋めるだけ」
と言う認識であったミクログリア細胞が
実は脳内免疫系としての働きがあり、
しかも腸内環境による影響が大きい
と言うことも分かってきています。
このミクログリア細胞と
アルツハイマーなどの認知機能障害との
関連性も徐々に明らかになりつつあります。
ウイルス感染などに対する
ミクログリア細胞の防衛反応により、
認知症患者の脳内で認められる
神経細胞外の老人斑(アミロイドβ蛋白沈着)
神経細胞内の神経原線維変化(タウ蛋白沈着)
が起きると言う指摘もあります。
皮膚や口腔内においても
常在菌は感染予防や保湿、
表皮細胞の安定性などに
とても大切なことは同じです。
ではそれと栄養がどんな関わりが
あると言うのでしょうか?
腸内環境改善と言うと多くの方は
発酵食品や各種ビフィズス菌入り食品
が頭に思い浮かぶかと思います。
それらは多くの方にとても有用です。
しかし実はそれよりも大切な
前段階で行うべきことがあります。
・過剰な糖質を摂らない(甘いものとデンプン)
・良質な蛋白質を十分摂る
・良質な脂質をバランス良く十分に摂る
・微量栄養素(ビタミンミネラル、特に鉄)を十分に摂る
と言うことです。
脂質は不足しているか
バランスが極めて偏っているケースが
ほとんどかと思います。
現代栄養学では体内合成出来ないとされる
必須脂肪酸がとても大切です。
不飽和脂肪酸と言われる中の
ω3(n-3とも表記 抗炎症効果)
ω6(n-6とも表記 炎症増悪効果)
のバランスが1:2から1:4が理想と
されていますが、市販の揚げ物や
ファーストフードなどを食べていると
1:20や1:40と言う様なω6過剰の
状態になってしまうのです。
低脂質食が健康と言うのも間違いです。
人間の細胞膜は大まかに言うと
リン脂質二重膜とコレステロール、
蛋白質とで構成されています。
ですから低脂肪食を続けることは、
細胞の質を落としているだけなのです。
更に大切なのは
必須アミノ酸バランスと
微量栄養素バランスです。
と言うのもこの2つの栄養素は
最も不足している栄養素が
体内代謝反応を制限してしまう
と言うことがわかっているので、
まずは最低限の量を十分に補い、
加えて更に状況に応じて特定の
栄養素をさらに補填する必要が
あるのです。
もうひとつ頭に入れておくべきなのが、
「消化吸収率」です。
口に入れたものがほぼ100%体内に
吸収されると言うことは極めて稀です。
天然成分では、炭水化物や水くらい。
アルコールもそうですね。
消化されず様々な物質を吸着する
性質のある不溶性食物繊維があれば
なおさらです。
動物性蛋白質の消化吸収率は
ほぼ100%と言う説もありますが、
実際に肉/魚/卵、プロテインなどを
摂取するのと、消化が不要である
必須アミノ酸が理想的なバランスに
含まれるEAAサプリメントとでは
吸収率が違う為に必要量や効果も
かなり違いますので、
現実的には意外と低いと思われます。
ビタミン/ミネラルサプリメントでも
実は同様に100%吸収はされません。
50%未満の吸収率であることも
珍しく無いのです。
特に精神症状対応に必要な鉄サプリメントは
日本国内で流通しているヘム鉄製品は
吸収率がかなり低いので、
米国産に多い吸収率が高い「キレート鉄」
製品を使うことをお勧めします。
加えて人間の身体は不思議なもので、
継続して十分な量を摂り続けると、
その栄養素の吸収利用率が低下する
傾向があります。
ですから2-3日毎に休薬期間を設けたり、
いくつか栄養を考慮した
食事やサプリメントのパターンを作り
1-2ヶ月毎にローテーションさせることが
栄養素の効率的な利用の為には
とても大切なのです。
かかりつけ医がいる方は
主治医の先生に相談が必要ですが、
精神症状を安定させる為には、
原因と考えられる環境要因の除去に加え、
・糖質制限
・蛋白質/アミノ酸補給
・適切なバランスの脂質補給
・微量栄養素(まずは鉄)
をまず行いましょう。
もちろんご本人のストレスへの
受け止め方や考え方を改善する
と言うのもとても有効ですので、
栄養療法と同時に行うのも
良いかと思います。
「蛋白質 鉄 精神」
などと検索すると、
様々な情報が出てきますので、
是非参考にしてみて下さい。
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