ω3不飽和脂肪酸と不安症
こんにちは!
ヘルスドクター
健康実践支援専門医師
宮崎 光史です。
【ω3脂肪酸の習慣的摂取が不安症を改善する可能性】
19論文をメタ解析した結果、
ω3脂肪酸を2g/日以上摂取すると
不安症を抑制する効果がある
可能性が認められたと言う報告が
JAMA Network Open(2018; 1: e182327)で
報告されました。
ω3脂肪酸で不安症状が軽減
ω3脂肪酸の摂取は不安症状を軽減させ、その効果は身体疾患や精神疾患を有する場合に高くなる。国立がん研究センター社会と健康研究センター健康支援研究部長の松岡豊氏、台湾・中國醫藥大學生物醫學研究所教授の蘇冠賓氏らは、不安症状を有する患者を対象にω3脂肪酸の抗不安効果を検討した研究のシステマチックレビューとメタ解析の結果を JAMA Network Open( 2018; 1: e182327 …
「不安症は死亡率を高める」
と言う統計的傾向はありますが、
現在病院で為される治療には
・抗不安薬は過鎮静、依存の副作用
・認知行動療法は時間や費用、経験医師の不足
と言った問題があり、
マウス実験にて
ω3脂肪酸を多く含む餌を
「習慣的に」食べさせることで
不安反応が軽減したことから、
今回のメタ解析を行った、
ということです。
ω3脂肪酸自体は、
厚生労働省より1g/日以上の摂取が
推奨されていますが、
今回の報告では2g/日以上の摂取を
習慣的に続けることが
不安症に効果があるとされています。
では、ω3脂肪酸をサプリメント等で
2g/日以上習慣的に摂取すれば良い
のでしょうか?
精神症状と「腸内環境」
そもそも何故
「ω3脂肪酸が不安症に良い」
のでしょうか?
「ω3脂肪酸に抗不安薬の様な薬効がある」
訳ではありません。
以前より、食事内容を改善することで
精神疾患とされる方々の精神症状が
改善することが報告されており、
「腸内環境と精神症状の関連性」
の可能性が高いとされています。
「ω3脂肪酸サプリメント」2g/日相当を
習慣的に摂取することも幾らかの効果は
期待出来る可能性は否定出来ませんが、
おそらくそれだけでは不十分です。
【腸内環境を改善させる為の食事とは】
では、腸内環境を整える為に
どの様な食事をすれば良いのでしょうか?
詳しく書くと1冊以上の本になるので、
ここでは簡単にお話させて頂きます。
食事から摂取すべき栄養について、
記事執筆時点で特定されているモノは
7種類と言われています。
・蛋白質
・脂質
・炭水化物
・ビタミン
・ミネラル
古典的栄養学では
最初の3つを「3大栄養素」
それに後の2つを加え「5大栄養素」
と言われています。
これに加えて
・食物繊維
・ファイトケミカル
と言うモノが加わり、
現代栄養学では「7大栄養素」
と言われています。
3大栄養素では一般的に
・蛋白質不足
・脂質バランス不良
・糖質過多
が大きな問題になります。
特に糖質過多は大きな問題で、
「甘いもの(砂糖、果糖、多くの人工甘味料)」
を常食しないこと、
現在ある症状を改善させるという
目的の為には完全に断つことが、
生化学的にも精神的にも
とても大切になります。
そもそも、
やめられないこと自体
「依存症」と言う病気
なんです。
それに加えて症状のある方は
比較的アレルギー源となることが
多いとされている
・小麦(グルテン)
・乳製品(カゼイン)
を厳格に避ける
ことも大切です。
本当に重篤で難治性の場合には、
最近注目されている
「レクチンフリー」と言う食事で
改善する可能性がありますが、
優れた栄養素を含む食品も
一定期間排除する為に、
中長期的に行うことは
避けないといけません。
ビタミンミネラルについても
不足しているケースが多いですが、
上記の糖質過剰やストレスの影響で
相対的に更に不足傾向であることが
多いので、正常に生きていく為に
最低限摂取する必要があると言う程度の
厚生労働省の推奨摂取量では
焼け石に水である可能性があります。
どれくらい摂れば良いかは
個人の体質や症状によっても
変わってきますので、
知識や経験のある指導者の下で
量の調整などを行う必要があります。
食物繊維については、
・腸内善玉菌の餌
・便通改善
としても大切で
サプリメント等も出ていますが、
野菜や雑穀などから自然な形で
摂ることが良い
と思います。
ファイトケミカルについては、
・抗炎症作用
・免疫正常化作用
などの効果が報告される様な
モノが多くありますが、
これまた長くなりますので、
「色の濃い野菜」を
意識してみて頂ければ良いかと思います。
【腸内環境を改善させる為の脂肪酸摂取】
人間が体内で合成出来ない
・ω3不飽和脂肪酸
・ω6不飽和脂肪酸
と言う2種類の脂肪酸は
「必須脂肪酸」と言われており、
脳血管や心血管の疾患予防の為に
ω3:ω6=1:2-1:4と言う比率での
摂取が勧められています。
ところが、現代の食環境では
ω3とω6の比率は1:20-1:40と
ω6過剰になっているとされています。
今回紹介したメタ解析論文では、
体内の炎症を増悪させてしまう、
ω6の摂取量については
全く触れていません
でした。
ω3脂肪酸を2g/日以上摂らないと
効果が無いとする結果についても、
ω6不飽和脂肪酸の摂り過ぎを
減らすことで少なく出来る
可能性があります。
絶対量もある程度必要ですが、
それ以上にバランスが大切
なんです。
ですから、今回の研究結果を
実践してみたいと言う場合には、
ω3不飽和脂肪酸を1日2g以上
ω6不飽和脂肪酸は1日4g未満
を意識して下さい。
前述した様に、
現代人は気にしないと
ω6をω3の20-40倍摂ってますので、
ω3を積極的に摂るのも大切ですが
それ以上にω6を制限することが
大切になります。
不飽和脂肪酸は
酸化しやすいと言う性質があり、
酸化した脂肪酸は毒である、
と思ってもらって良いですので、
酸化油に注意しましょう。
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